コラム

困りごと解決型ビジネスの作り方〜お客様の「困った」を見つける〜

地域で最も安定するビジネスは「困りごと解決型」。派手さはなくても「なくなったら困る」存在になれば、価格競争に巻き込まれません。困りごとの見つけ方と5ステップの作り方を解説。

「うちには特別な技術も、映える商品もない」──そう思っていませんか?

実は、地域で最も安定して稼げるビジネスは「困りごと解決型」です。派手さはありませんが、「なくなったら困る」存在になれば、景気に左右されず、価格競争にも巻き込まれません。

困りごと解決型ビジネスとは

困りごと解決型ビジネスとは、お客様の日常的な「困った」を解決するサービスです。

特徴 内容
ニーズが明確 お客様が「困っている」ので、説得不要で買ってもらえる
リピートしやすい 定期的に発生する困りごとなら、継続的な関係になる
紹介が生まれやすい 「〇〇で困ったらあの人」と口コミで広がる
価格競争になりにくい 「今すぐ解決したい」ので、安さより確実さが重視される

困りごとを見つける5つの視点

「困りごと」は身近なところに隠れています。以下の5つの視点で探してみましょう。

1. 自分が困った経験

「これ、誰かに頼みたいのに頼める人がいない」という経験はありませんか?あなたの困りごとは、他の人も同じように困っている可能性があります。

2. 高齢者の困りごと

高齢化社会では、「昔は自分でできたけど、今はできない」という困りごとが増えています。

  • 電球の交換、家具の移動
  • スマホの設定、ネットの手続き
  • 庭の草取り、雪かき
  • 買い物の付き添い、病院への送迎

3. 忙しい人の困りごと

共働き世帯や単身赴任者など、「時間がない」人の困りごとです。

  • 家事代行、掃除
  • 子どもの送迎
  • 手続き代行

4. 専門知識が必要なこと

「やり方がわからない」「失敗したくない」という困りごとです。

  • パソコンのトラブル対応
  • 確定申告、補助金申請
  • 相続、登記などの手続き

5. 緊急で対応が必要なこと

「今すぐ何とかしたい」という困りごとは、高い付加価値を持ちます。

  • 水漏れ、鍵のトラブル
  • 車のバッテリー上がり
  • エアコン故障(真夏・真冬)

困りごと解決ビジネスの作り方:5ステップ

ステップ1:困りごとをリストアップする

まず、地域の人が抱えている困りごとを100個書き出してみましょう。自分の経験、家族・友人へのヒアリング、SNSでの相談投稿などから集めます。

ステップ2:解決できる困りごとを選ぶ

リストの中から、以下の条件を満たすものを選びます。

  • 自分のスキル・経験で解決できる
  • 繰り返し発生する(リピートにつながる)
  • 競合が少ない、または対応が遅い
  • 対価を払ってでも解決したいレベルの困りごと

ステップ3:サービスを設計する

以下を明確にします。

  • 何をするか(サービス内容)
  • いくらか(料金体系)
  • どこまでやるか(サービス範囲)
  • どう連絡してもらうか(窓口)

ステップ4:まず1人のお客様を見つける

最初から広告を出す必要はありません。身近な人に「〇〇で困っている人いない?」と聞いてみましょう。1人のお客様に満足してもらえば、紹介が生まれます。

ステップ5:サービスを磨く

お客様の声を聞きながら、サービスを改善していきます。「こんなこともできない?」という要望が、新しいサービスのヒントになります。

ケーススタディ

ケース1:便利屋から「高齢者専門よろず相談」へ(A氏・50代)

背景:脱サラして便利屋を開業したA氏。最初は何でも受けていたが、単価が安く体力的にもきつかった。

転機:高齢者からの依頼が多いことに気づき、ターゲットを絞ることに。

サービス内容:

  • 月額3,000円の「よろず相談会員」制度を導入
  • 会員は電話相談無料、出張費半額
  • 電球交換から役所の手続き付き添いまで対応
  • 「息子代わり」として信頼関係を構築

結果:会員100名を超え、安定収入を確保。紹介だけで新規会員が増え続けている。

ケース2:パソコン教室から「デジタル困りごと駆けつけサービス」へ(B社)

背景:地方でパソコン教室を運営していたが、スマホ普及で生徒が減少。

転機:既存の生徒から「スマホの使い方を教えて」「ネット銀行の設定をして」という相談が増加。

サービス内容:

  • 「デジタル困りごと」に特化した出張サービス
  • 1回3,000円(30分)で、何でも相談OK
  • スマホ設定、アプリの使い方、ネット手続きなど
  • 定期訪問プランも用意

結果:教室の売上を超える収益に。「デジタルのことはB社さんに」と地域で認知される存在に。

ケース3:主婦の「あったらいいな」から生まれた家事代行(C氏・40代)

背景:専業主婦だったC氏。子どもが大きくなり、何か始めたいと思っていた。

きっかけ:ママ友との会話で「掃除する時間がない」「作り置きおかずを作る余裕がない」という声を聞いた。

サービス内容:

  • 週1回2時間の家事代行(掃除・洗濯・料理)
  • 「主婦の視点」で気配りのある対応
  • 口コミのみで集客(広告費ゼロ)

結果:開始1年で顧客15世帯。「もうCさんなしでは生活できない」と言われるように。

困りごと解決ビジネスの料金設定

困りごと解決型ビジネスで失敗しがちなのが「安くしすぎる」ことです。

料金設定の3つの考え方

考え方 説明
時間ベース 作業時間で課金 1時間3,000円 + 出張費
作業ベース 作業内容で課金 電球交換1,000円、エアコン掃除8,000円
月額ベース 定額で安心感を提供 月額5,000円で相談し放題 + 作業費別途

ポイント:「安くしないと来てもらえない」は思い込みです。困っている人は「確実に解決してくれる」なら、適正価格を払います。

まとめ

  • 困りごと解決型は、最も安定しやすいビジネスモデル
  • 5つの視点で困りごとを探す(自分の経験、高齢者、忙しい人、専門知識、緊急)
  • 5ステップでサービスを作る(リストアップ→選択→設計→1人目→改善)
  • 適正価格で提供する(安すぎると続かない)
  • 信頼関係が最大の資産(紹介で広がる)

参考文献
神田昌典『あなたの会社が90日で儲かる!』フォレスト出版
小阪裕司『「買いたい!」のスイッチを押す方法』角川書店

筆者:芝 香(しば かおる)
ネクストソサエティ株式会社 代表取締役。北海道文教大学非常勤講師(経営マネジメント論・マーケティング論)、北海道大学会計レクチャー講師。恵庭市主催の起業塾講師も務める。中小企業の経営支援やICT導入コンサルティングを専門とする。